離婚調停の流れと効果的な利用のためのポイント
夫婦で話し合っても結論が出ない場合、裁判所に調停を申立てれば、調停委員を介した話し合いができます。
ただし、調停委員という第三者に対し、いかに適切な主張を行い相手方に伝えてもらうか、調停を有利に進めるためにはいくつかのポイントを知っておくことも大切です。
ここでは、離婚調停の流れを理解し、調停を効果的に利用するコツについて解説します。
離婚調停は裁判所における夫婦の話し合いサポート
夫婦だけでは話がまとまらない時や、配偶者と顔を合わせず離婚を進めたい時には、調停委員を介した話し合いを裁判所で行うことができます。
家庭裁判所に対して離婚調停を申立てると、期日が設定され呼出状が送付されます。
指定日当日には夫婦双方が裁判所に出向きますが、それぞれに対して別室が待合室として与えられ、調停委員がいる部屋に交互に呼ばれて主張を聴取します。
まずは申立人が呼び出され、事情説明と主張を調停委員に行います。
次に調停委員は相手方を呼び出して相手方からも同じく事情説明を聞き、申立人の言い分を伝えてくれます。
その上で相手方の主張や言い分を聴き取ります。
これが終わると申立人再度呼んで、相手方の主張や言い分を伝え、これに対する申立人の言い分などを聴き取ります。
この手続きを繰り返して着地点を探っていくことになるのです。
話の主体は夫婦ですが、調停委員を介することで感情的なぶつかり合いが軽減され、離婚協議に比べると冷静な状態で話を進めていけるメリットがあります。
話し合いの結果、離婚の合意に至ると、離婚条件が記載された調停調書が作成されます。
離婚調停の申し立てから成立までの流れ
調停は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に対し、必要書類と費用を納めて申し立てます。
郵送で申し立てることもできますが、正しく手続きを行うためにも管轄する家庭裁判所に電話で必要な書類や費用を聞いて準備をしたうえ、申し立ては裁判所に直接出向いて行うことをお勧めします。
- 調停申立書
- 夫婦の戸籍謄本
- 1000円分の収入印紙
- 裁判所が指定する切手代
調停期日の呼出状が送達される
申し立てを受理した裁判所は第1回調停期日を決定し、呼出状が送達されます。
調停期日の一般的な流れと話し合いの仕組み
期日には調停委員が2名控えており、申立人から内容を聴取します。
この時、申立人は、離婚を希望する事情や何が問題となって難航しているか、自分が望む条件等、一通りの説明と主張を行います。
調停委員は次に相手方を呼び出し、申立人の話を伝えた上で、相手方の気持ちや意見を聴取します。
この流れを繰り返し、月1回程度、定期的に裁判所での話し合いを継続することになります。
なお、当事者が弁護士に依頼している場合、弁護士が調停の場に同席することが認められています。
調停が成立すれば離婚、不成立なら裁判に移行も
双方が離婚に合意すれば、調停成立となり、裁判所の作成する調停調書をもって離婚が成立したことになります。
調停調書には、親権、慰謝料、財産分与等の各種条件が記載されており、後日送達されます。
調停調書には判決と同じ効力が認められており、もし取り決め事項が守られなかった場合は強制執行も可能になります。
なお、調停委員はあくまでも公平な立場の仲介者であり、離婚に関する決定権を持ちませんし、当事者に何かを命じ対する権利もないので、夫婦の意見がどうしてもまとまらない場合は調停不成立となります。
この場合、申立人が配偶者を相手取って裁判を起こすケースも出てきます。
離婚届の提出
調停で離婚成立となっても、別途役所に対して離婚届を提出しなければなりません。
ただし、裁判所を介して成立したものであることから、相手方の署名捺印や証人は必要なく、申立人の署名捺印があれば届けが受理されることになります。
離婚調停を効果的に利用するコツ
調停は、あくまでも夫婦による話し合いが主であり、調停委員は譲歩点や決着点を探って解決を手伝ってくれるものであると理解しましょう。
また、限られた時間の中で最大限の主張を行い、かつ調停委員の心証が良くなるよう配慮することが大切で、そのためには次の点を意識すると調停を効果的に利用しやすくなります。
陳述書等の書類は事実をわかりやすくまとめる
申立人としては、何とか調停委員に自分の事情や主張を理解してもらおうと、過去の出来事やその時の感情に至るまで、何枚もの用紙に想いを綴ってしまうことも少なくありません。
しかし現場では、調停委員はおおよその流れを把握した上で本人から直接事情説明を行うよう求めてくることが多いため、何枚もの書類にじっくり目を通してもらうことは難しいとも言えます。
従って、仮に書面を提出する場合でも、自分が主張できる限られた時間の中で最大限のことを伝えるためには、簡潔に要点をまとめた書類を提出するに留めておくことも大切です。
これにより調停委員は、事前に概要を理解することができ、かつ申立人としても書類を補う形で事情説明を行うことができますから、より時間を有効に使うことが可能になります。
明確な主張を持ちつつ調停委員の共感を得ることが大事
調停委員は客観的立場にいますが、人間ですから、態度の良し悪しが調停の進行に影響を及ぼすことも考えられなくはありません。
ですから、言葉遣いや態度は真摯に、相手方がたとえ不条理な主張を展開してきても、感情的にならずに冷静にいるようつとめることも必要です。
また、話し合いがどうしても難航する場合、譲歩を勧めてくることがあるため、予め譲れない条件は明確に主張しておき、調停に臨むことが大事です。
調停委員を務める人の職歴は様々であることから、柔軟な視点を持って仲介してくれるメリットがあります。
ただ、最近はあまり聞かなくなったものの、中には当事者の意向を軽視して、調停を強引に成立させようとしているのではないかと思われるような言動をとる調停委員もいるようです。
正当な主張を行いつつ限られた機会を有効に活かすためにも、調停の時点から弁護士に依頼するのも効果的な策の1つだと言えます。
離婚調停を行うなら当事務所までご相談を
当事務所としては、調停委員にありのまま、正直に接することで、あるべき結論を自然に調停委員に見定めて貰えるように努力することが大切だと考えています。
相談件数300件以上の経験から、離婚問題の見通しを立てる力量も備えていますので、話し合いを正しい方向性に導くためにお手伝いできることがたくさんあります。
調停においては、当事者として何をどう話すべきか、具体的なアドバイスを送ることも可能ですので、ぜひ一度ご相談頂き、弁護士との相性を確認して頂いた上で、2人3脚で問題解決に臨むことをお勧めします。