離婚前に別居はすべきか?別居のメリットと注意すべき点とは

離婚前に別居すると、相手と顔を合わせることがなくなりますから、同居時に比べるとはるかに精神的負担が軽くなります。

ここでは、離婚に際しまず「別居」を選択した場合の、メリットと注意すべき点について解説します。

離婚前に別居する4つのメリット

精神的負担が大きく軽減される

別れたい相手と毎日顔を合わせることは、一緒にいたくないという人と生活を継続するということですから、それだけで大変なストレスになりますし、離婚の話し合いになると感情的なぶつかり合いになることも多々あります。

この点、別居することにより物理的な距離を置けることから、ストレスが減り、冷静に今後の生活や離婚手続きについて考えることができます

相当期間の別居は離婚を成立させる要素となる

婚姻生活の長さとの関係で前後することがありますが、一般的には別居期間が3年から4年ほど継続すると、婚姻関係は破綻したと判断される可能性が高くなり、離婚成立の要素となり得ます。

また、自分自身が有責配偶者である場合、通常は自分からの離婚請求は認められませんが、別居期間が10年以上の長期に渡る場合、今後の関係改善が見込めないとして離婚が認められる可能性が出てきます。

離婚に向けた情報収集等の準備や段取りを確認する余裕が生まれる

協議離婚がうまくいかない場合は次にどのような手段を採れるのか、親権や財産分与、慰謝料等の法的な問題がある場合は誰に相談すれば良いのか等、じっくりと情報収集を行い離婚に向けた準備に集中する余裕が生まれます。

別居の事実が相手方に離婚の可能性を認識させる

話し合っても離婚を拒否される場合、別居することによって、相手方は離婚が現実的な問題であることを認識しやすくなります。

さらに、時間の経過とともに、相手方自ら夫婦関係の限界を感じ始め、結果として離婚協議が再び進展するケースもあります。

すぐにでも別居を実行した方が良いケース

離婚協議の有無に関わらず、相手方の行動等により自分自身に大きな被害がもたらされる場合は、速やかに別居した方が良い場合もあります。

特に、相手方の行為が法定離婚事由に該当する場合は、自分から別居したとしても不利になりにくいと考えられます。

DVやハラスメントを受けている場合

DVやモラルハラスメント等により、肉体的あるいは精神的に大きなダメージを受けている場合は、これ以上被害を大きくしないためにも別居で自分自身を守ることを優先します

別居する前にしておきたいこと

不貞やDVがある場合、録音データや写真、治療履歴等、別居前にできる限り証拠を集めておくことを強くお勧めしています。

また、財産分与や慰謝料請求のことを想定し、預貯金の通帳やカード会社の利用明細、生命保険の証券等、いずれもコピーを取る等して証拠を確保しておくことが大切です。

できるだけ有利な条件で離婚成立させるためにも、いくつもの事柄を確認した方が良いのですが、インターネットで得られる情報は全てが正しいわけではありませんので、できれば別居前に弁護士に相談した方が良いでしょう。

別居後の生活や子供のことについては十分な注意を

子供を伴って別居する場合、子供の立場としては生活の場が突然変わるだけでなく、転校、転入を余儀なくされることから、大きな不安を抱いてしまう可能性があります。

子供の負担をできる限り軽減するのが望ましいのは言うまでもありません。

学校にはよく事情を話し、先生と連携して早く子供が新しい学校に馴染めるよう最大限配慮する必要があります。

なお、親権を獲得したい場合は、継続的に面倒を見ているのが誰かということが大きなポイントになってきますから、親権獲得を希望している配偶者は、可能であれば子供を連れて別居するのが望ましいと言えます。

ただし、それが無理やりな連れ去りであれば犯罪になる可能性もありますし、そうでなくても相手方から捜索願や被害届が出されて騒ぎになってしまうこともあるので、注意をする必要があるでしょう。

また、別居により夫婦は各自の生活を営むようになるため、通常、生活費は各々が負担することになります。

従って、別居中の生活費について事前に話し合っておくことが大事ですが、仮に生活費に関する話し合いができなかったとしても、収入の低い方が自分より収入の多い方に対して婚姻費用分担請求を行うことができるため、生活費の一部を確保することが可能です。

請求は自分で起こすこともできますが、弁護士に依頼して調停で決めた方がスムーズに結論を得られるでしょう。

当事務所における「離婚前の別居」に対する助言方針

男性から別居する場合、多くのケースでは出て行った家の家賃や住宅ローンを払いながら新しい生活を送るため、当事務所としては、二重生活により経済的負担がかなり大きくなる点に注意を促しています。

女性から別居する場合は、多くの場合子供を連れていることから、できるだけ実家に戻るよう勧めており、生活費の負担が少しでも軽くなるよう助言を行っています。

アパートを借りて住む場合は、相手方に請求できる婚姻費用の目安を提示した上で、自力で生活することが可能かどうか判断を促しています

別居にはメリットもありますが、実生活上のリスクも受け容れていかなければいけないため、プラスとマイナスの両面があることをきちんとお伝えし、別居前の準備をフォローすることを心がけています。

別居から離婚成立までできるだけスムーズに運ぶためにも、ぜひ早い段階でご相談ください。

別居・婚姻費用の関連記事

別居中の配偶者に支払う婚姻費用を減額する方法

配偶者が子を連れて別居している場合、自分の方の収入が多ければ相手に対して婚姻費用を支払う必要があります。 一般的に、裁判所による算定表を基準として金額が決められますが、負担する側としては決して少ない金額ではなく、生活を圧…

別居しながら相手に生活費負担を求めることができる婚姻費用分担請求

別居しながら離婚協議や調停、裁判を行っている最中でも、離婚が成立しないうちは法的に夫婦です。 夫婦は生活において助け合う義務を持つことから、相手方に対して生活費の分担を求めることができます。 これを婚姻費用分担請求と言い…