いわゆるDVと呼ばれる配偶者による家庭内暴力や、モラハラと呼ばれる精神的暴力は、被害者の心身を深く傷つけるだけでなく、深刻な人権被害ともされています。

離婚を切り出すことにより更なる暴力に繋がることも多い、DVやモラハラ事案について、配偶者と離婚する方法と慰謝料請求の仕方を解説します。

DVもモラハラも法定離婚事由に該当する深刻な問題

DV(ドメスティックバイオレンス)は配偶者から受ける肉体的な暴力を指し、モラハラ(モラルハラスメント)は言葉や態度等による精神的な暴力を指します。

いずれも被害者に深刻なダメージを与える暴力行為として、法定離婚事由に該当します

加害側である配偶者は暴力を行っている意識があまりないため、放っておくと深刻な事態に陥りやすい問題です。

DVの例

配偶者から殴られたり蹴られたりすることや、突かれたり押されたりすることに加え、当たるかどうかに関わらず物を投げる行為も該当します。

モラハラの例

罵倒や軽蔑の言動はもちろん、こちらの行為が気に入らず大きな音を立てたり大きな溜め息をついたりすることも該当します。

また、無視し続けることもモラハラとされています。

DV・モラハラ配偶者と離婚し慰謝料請求するための流れ

DVやモラハラによる被害を原因として離婚を考える場合、まずは証拠の確保を行うことが非常に大切です。

DVの場合は受けた暴力による怪我の診断書や壊された物の写真、モラハラの場合は当該行動が見られた日時や具体的な言動等のメモ、うつ病等を発した場合はその診断書等が証拠になり得ます

証拠があれば、離婚協議が難航し訴訟に至った場合でも、法定離婚事由があるとして離婚が認められる可能性がありますし、慰謝料を請求することもできます。

証拠を確保したら、離婚の話し合いから開始します。

離婚協議

一般的には夫婦による離婚の話し合いから解決を目指しますが、DVやモラハラを行う配偶者の場合、離婚したいと告げることによって感情的になり、暴力に繋がることも考えられます。

このため、話し合いが可能であれば離婚の意思を伝えるか、あるいは証拠を確保した後で別居し配偶者から一旦距離を置くことも大切です

この場合、裁判所の調停を利用して協議を続けることになります。

離婚調停

配偶者の住所地を管轄する家庭裁判所に、夫婦関係調停申立書を提出し、調停の申し立てを行います。

申立書には慰謝料について記入する欄もありますので、希望額を書き入れておきます。

申し立てが受理されると裁判所から呼び出し状が届きますので、期日には夫婦双方が裁判所に出向くことになります。

ただし夫婦には別々の控室が用意され、調停委員の部屋にも交互に呼ばれるため、直接相手と顔を合わせることなく話を進めることが可能です。

調停委員に対しては、証拠を提示しながらDVやモラハラがあった事実と離婚の意思、慰謝料を希望する旨を伝えます。

調停委員は双方から聞き取った話を相手に伝え、徐々に話をまとめて解決に導いていくことになります。

離婚裁判

調停を繰り返しても結論が出ない場合、申立人は訴訟を起こし、裁判で争うことになります。

裁判では自分の主張を裏付ける証拠があるかどうかが非常に重要であるため、DVやモラハラが原因の場合は、客観的証拠があれば法定離婚事由として認められやすくなります。

慰謝料についても十分額を支払ってもらえるよう主張します。

慰謝料を増額させる要素

DVやモラハラを原因として離婚する場合、暴力の程度や回数等の要素により慰謝料額が増額されることがあります。

DVやモラハラの期間と回数

長期間に渡り何度も肉体的あるいは精神的暴力を受け続けてきた場合、増額の可能性があります。

怪我や病気の程度

DVやモラハラが怪我や病気の原因となり、その程度が重い場合、慰謝料がより高額になることがあります。

婚姻期間が長い場合

婚姻期間が長いほど、長期間に渡ってDVやモラハラに耐えてきたことが想定され、その肉体的精神的苦痛は相当に大きいものとして、慰謝料が増額される理由となることがあります。

夫婦に子がいる場合

まだ親の養育が必要な子がいる場合、DVやモラハラによる影響が大きいと考えられるため増額要因となることがあり、また子の人数も慰謝料額に影響します

裁判所で慰謝料を決める場合、夫婦の背景事情が考慮され、最終的に調整された適正な金額が決まります。

恐怖を1人で抱えずすぐに弁護士へ相談を

DVやモラハラを行う配偶者が相手の場合、離婚の話を切り出した際に、相手に何をされるかわからないから怖さが常に付きまといます。

また、暴力が常態化していた場合は、冷静な話し合いだけで解決するとは限らないことから、速やかに弁護士に相談し、離婚手続きや慰謝料請求において力を借りることがとても重要です

弁護士がいれば、調停や裁判を行う場合もその手続きや対応を任せることができますし、精神的負担を最小限にして解決を目指すことが可能になります。

当事務所としても、被害者が精神的に追い詰められた状態であることから、できるだけ早く別居し離婚を成立させるべきだと考えています。

周囲に対して気軽に相談できる内容ではないからこそ、弁護士はしっかりと話を伺い、法的にどのような解決策が考えられるか提案させて頂きます。

ぜひ勇気を出して当事務所まで一度ご相談ください。

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